■国分寺の伝説   …玉造小町…


 玉造という地に大変美しい女がいて、村人は「玉造小町」と呼んでいた。ある日業病にかかってしまい、輝くばかりに美しかった小町の顔が、みるみる醜く変わり果ててしまった。
 彼女は人づてに武蔵国分寺に、人間に奇蹟を与えてくれる石のある事を聞いた。彼女は供を連れ国分寺薬師堂に詣でて、病気全快を祈った。
 一人の童子が現れて小さな池に連れていかれ、この池の水で七日間洗い続けるように言われた。七日目の朝、池から彼方の岸にかかる七彩の虹を見た。そこに弁財天が現れ、にっこり笑いかけている。
 ふと池の中に眼をやると、美しい女の姿が映っていた。それは業病にかからぬ前のわが顔であった。この事を聞いた里人たちは、弁財天池を「真姿の池」と呼ぶようになった。

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