「緑豊かな街は心の癒しをもたらす。「ヨーロッパの都市では約30%が緑地であることが市民や行政の常識になっています。国分寺の緑地面積は現在28%ほどに減少傾向にあります」
そう話してくださったのは石原一郎さん。国分寺市緑化推進協議会の会長を務めておられるこの人は、同時に並木公民館の農業体験講座の代表であり、また、環境基本計画委員や防災推進委員一七会でも活躍されている。「防災と緑化活動、農地の保全は切り離せないもの。かつて山形県酒田市の大火では緑地帯が延焼を食い止めたことがありました。宅地が緑に囲まれているか否かは、単に美観の問題だけではありません」と石原さん。
たとえば雑木林は、畑の落ち葉たい肥を作るのに欠かせない資源の供給地である。
畑などの生産緑地とともに、そういった雑木林も、国分寺から姿を消しつつある傾向にある。「人々が心豊かな生活を送れるためには、オープンスペースが必要です。緑化推進協議会ではそういった場所を残していく活動も行っています」
西恋ケ窪にある、約1万平米の通称「X山」(西恋ケ窪緑地)の相続問題が発生したとき、行政が買い上げたのもその活動の成果。これをいかに維持して、いかに有効に多目的に活用していくかが今後の課題だ。「国分寺の魅力は緑の多さ、自然の豊かさだと言われていますが、宅地化によって、緑地が減少しているのが現状です。人口を12万人程度に保って、さらに各家庭がガーデニングなどによって個々に緑化を進めていくことや、企業がビルの屋上などの緑化に務めていくことも不可欠な課題だと思います」
国分寺に住む個々人の意識が街の美しさを保つのだと石原さんは言う。
写真−中村忠夫さん
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