■インタビュー
…冒険家/関野吉晴…

【プロフィール】  1949年1月20日東京都墨田区生まれ1967年都立両国高校卒業。1975年一橋大学法学部卒業。1982年横浜市立大学医学部卒業。1999年、 植村直己冒険賞(兵庫県日高町主催)受賞。2000年 旅の文化賞(旅の文化研究所)受賞。現在、武蔵野美術大学教授(文化人類学)

 「グレートジャーニー」といえば、テレビで放映されたのをご存知の方も少なくないだろう。アフリカが起源とされる人類が、南米に到達するまでの5万キロを8年がかりで旅した。その人が関野吉晴さん。探検家にして医師、そして国分寺市在住。
 昨年7月に始まった今度の旅は、日本人のルーツを辿る「グレートジャーニージャパン」。考古学、自然人類学、遺伝学をもとに、東シベリアの日本人の祖先がサハリンを経由して移住したとされる北方ルートを旅する。
 「日本人はいろんな民族の血が交じっている人種です。それは血液型を見ても明らか。日本人はどこから来たのかを探りたいのです」
 関野さんが決めたルールは「近代的なものを使わずに移動する」ということ。だから自動車などは使わず、徒歩、自転車、犬ぞり、トナカイ、ラクダなどで移動する。それだけに自然の美しさとも脅威とも直に接することができる。ゆっくり移動するからこそさまざまな出会いもある。「最大の目的はそこに住む人々との交流です。彼らは都会の暮らしとは無縁で、自然と一体になって生活しています。物の見方、考え方に影響を与えてくれるのです」たとえば競争をしない、時間がゆったりと流れている、大量生産&大量消費をしない等々。
 「人間は本来は弱い動物です。それが文化をもったから世界中に分布し、ここまで生き延びることができた。
 でも、文化を作ったからといって、何か勘違いしているのではないかと思うんです。私たちは自然に生かされている存在のはず」
 秋には、日本人が中国南東部から朝鮮半島を経由して移住したと考えられる「大陸ルート」に挑戦する予定だとか。関野さんの旅はまだまだ続く。


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